こんにちは、turtleです。現在電磁気学を学んでおりまして、その備忘録のような形でこのブログを書かせていただいております。基本的に大学の内容となっていますが、数式さえ乗り越えれば高校生でも理解できると思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、クーロンの法則について、この法則を電磁気学の原理として受け取るのは本質的ではない一方で、別稿において、クーロンの法則とビオサバールの法則を使って求めた静電場と静磁場は、時間変化しないマクスウェル方程式を使って求めた静電場と静磁場に完全に一致しなければならないことを話しました。
つまり、電荷分布や電流分布が時間的に変化しないとき、クーロンの法則とビオサバールの法則を使って求めた静電場と静磁場は十分に価値があるということです。本稿では、そのうちクーロンの法則を使って、空間中の静電場の表式をかくことについて考えます。
クーロンの法則
ここで、クーロンの法則、重ね合わせの原理および電場の定義を再掲します。
原理1.1(クーロンの法則)
距離\(R\)離れた2つの点電荷\(q_1\),\(q_2\)の間にはたらく力\(\boldsymbol{f}\)は、大きさが
$$
f=\frac{|q_1q_2|}{4\pi\epsilon_0 R^2}
$$であって、お互いを結ぶ直線方向に、\(q_1\)と\(q_2\)が同符号なら引力、異符号なら斥力として現れる。
原理1.2(重ね合わせの原理)
3つの電荷\(q\),\(q_1\),\(q_2\)が存在するときに\(q\)のうける電気的な力は、\(q\),\(q_1\)のみが存在するとき\(q\)が\(q_1\)から受ける力と、\(q\),\(q_2\)のみが存在するとき\(q\)が\(q_2\)から受ける力のベクトル和である。
定義2.1(電場の定義)
静止した電荷分布に対して、この空間のある位置\(\boldsymbol{r}\)に単位電荷をおいたとき、単位電荷の受ける力\(\boldsymbol{f}\)を、その位置\(\boldsymbol{r}\)における静電場\(\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})\)と定義する。
クーロンの法則は、はるか遠くにある電荷どうしが互いに接することなく力を及ぼし合うという「遠隔作用」の立場で式が記述されています。これに対して、一般の力学や私たちの自然な考え方では、力は直接触れている他のものからのみ及ぼされるという理解が自然でしょう。これを踏まえてファラデーやマクスウェルがとったのは、電荷や電流が空間の性質を変え、この空間が場として力を順に伝えていき、他の電荷はそれが直接触れる周囲の空間から力を及ぼされるという「近接作用」の立場でしたね。以上の法則および定義より、次が直ちに成り立ちます。
系2.3.1
位置\(\boldsymbol{r_1}\),\(\boldsymbol{r_2}\),…,\(\boldsymbol{r_n}\)に、点電荷\(q_1\),\(q_2\),…,\(q_n\)が静止しているとき、位置\(\boldsymbol{r}\)における電場は
$$
\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})=\sum_{1\le i\le n} \frac{q_i}{4\pi\epsilon_0} \frac{\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r_i}}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r_i}|^3}
$$
系2.3.1の証明
定義2.1に従い、空間の位置\(\boldsymbol{r}\)における電場\(\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})\)を求めるため、この位置に大きさ\(1\)の点電荷を置いたと仮定する。
原理1.1(クーロンの法則)より、位置\(\boldsymbol{r_i}\)にある\(i\)番目の点電荷\(q_i\)が、位置\(\boldsymbol{r}\)にあるこの単位電荷に及ぼす力\(\boldsymbol{f_i}\)を考える。2点間の距離は\(R = |\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}|\)であり、方向ベクトルは\(\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}\)であるため、
$$
\boldsymbol{f_i} = \frac{1 \cdot q_i}{4\pi\epsilon_0 |\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}|^2} \cdot \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}|} = \frac{q_i}{4\pi\epsilon_0} \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}|^3}
$$原理1.2(重ね合わせの原理)より、単位電荷が受ける全体の力\(\boldsymbol{F}\)は、個々の電荷\(q_1, \dots, q_n\)から受ける力のベクトル和となるので、
$$
\boldsymbol{F} = \sum_{i=1}^{n} \boldsymbol{f_i} = \sum_{i=1}^{n} \frac{q_i}{4\pi\epsilon_0} \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r_i}|^3}
$$定義2.1より、単位電荷が受ける力\(\boldsymbol{F}\)そのものが、その地点における電場\(\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})\)であるため、
$$
\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \sum_{1\le i\le n} \frac{q_i}{4\pi\epsilon_0} \frac{\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r_i}}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r_i}|^3}
$$□
ここからさらに状況を発展させて、空間領域\(V’\)に電荷が連続的に分布していることを考えてみます。空間領域\(V’\)を微小体積\(dV’\)に分割することを考え、またある位置\(\boldsymbol{r’}\)における電荷密度を\(\rho(\boldsymbol{r’})\)とすると、この連続的な電荷分布は点電荷\(\rho(\boldsymbol{r’}) dV’\)の集まりとみなせるので、和は積分に書き換えて次が成り立つことが分かるでしょう。
系2.3.2
空間領域\(V’\)に電荷が連続的に分布しているとき、ある位置\(\boldsymbol{r’}\)における電荷密度を\(\rho(\boldsymbol{r’})\)とすると、位置\(\boldsymbol{r}\)における静電場は
$$
\boldsymbol{E(\boldsymbol{r})}=\displaystyle \int_{V’} \frac{\rho(\boldsymbol{r’})dV’}{4\pi\epsilon_0} \frac{\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r’}}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r’}|^3}
$$
この表式がクーロンの法則による空間中の静電場の表式であって、電荷分布が時間変化しないときの静電場の厳密な解になります。

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